2009年5月22日金曜日

遠藤周作『キリストの誕生』

遠藤周作氏的には、
『イエスの生涯』の続編な位置づけです。


イエスがとらえられ、処刑されていくのを見て、
あろうことか四散した弟子たちが、
いったいどんなことから、
イエスの教えを真に理解するに至り、
(これが、イエスを「見る」っていう体験、らしい)
のちに布教活動に邁進していくのか…という、
ある意味、永遠の謎に迫るもの。


私は信者ではありません。
しかし、あまりに小さいとき(幼稚園年少)から
キリスト教に接してきました。
その結果、ある時期までは、何も疑わずに育ち、
それ以上知ろうとしなかった、
そんな人間です。

極端な話。
わたしの知識は、ごくごく最近まで、
幼稚園の紙芝居レベル、
あるいは、
クリスマス近くなるとみんなで演じた、
聖劇のレベルでした。

いや、ほんとに(汗)。

これらはある意味、
伝えやすく分かりやすく、と
「つくりあげられた」イエスの生涯です。
ほんとうは(何をほんとうと言うかはさておき)、
そこに、もっと複雑な事情が絡んでいます。

それらの複雑な事情を、
遠藤氏はとてもわかりやすく書いておられます。
たとえそれが(ご本人が書いておられるように)
研究史的には不十分な内容であったとしても、
この本は、イエス・キリストをわかりやすく万人に伝える、
という、とても大きな意義をもっていると思います。

読んでいると、
なぜか登場人物を身近に感じてしまう自分がいます。
それはもちろん、
遠藤周作氏の書き方が上手いからでしょう。



0 件のコメント:

コメントを投稿